ジェントルマン

著者 :
  • 講談社 (2011年11月26日発売)
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感想 : 266
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詠美さんを読むの初めてなんだが『ぼくは勉強ができない』がしこたま流行ってた時にチラっと読んで、自分向きじゃないな、って思って読まなかったんだが、文章はとても読み良いんだけど、夢生も漱太郎も共感できんキャラだ…こう言ってはおかしいのかもしれんが、これがBLレーベルじゃなく一般書で出るのであれば、木原さんが一般書で出るの遅いくらいだよ、って思った。うん。一般小説ジャンルでBLっぽいもの書くのって逆に楽なんじゃないか、とふと思う。BLとは違うので、必ずしもハッピーエンドにしなくてもいいから、刹那的に悲劇的にバッドエンドを書いてしまう事も大いに可能だ。メインカプに当たる二人が明確に性的関係を結ばなくても良かったりする。が…BLは「あれはハッピーエンドなのか?」と言われちゃったりする制約の中で、ハッピーエンドと言うものへ向かって殆どの作品が書かれている訳で、どんな性格の登場人物であっても恋愛しなくてはならんのである、何と言う縛りに満ちたジャンルだろうか…って素直に感心する。これくらいの心理描写だったらBLで書いてるよ…一般小説の作家さんだと広く読まれるのにBLはやっと木原さんが一般書で…って思えて来てしまう。一般的に人気の作家さんも、BLに近いテーマで書く時は、やはりBLに特化して書いているBL作家さんの足元にも及ばないものしか書けない、と言う事かも知れん…それほどBL作家さんの熟練度が上がっているんだと思う、良い時代になった。漱太郎の歪みは極度のシスコンって事でオチるんかなー、これ。私があんまり好感触を抱いて読んでないのは、夢生の台詞だけ読むと、どんだけ魅力的なルックスしてるのか知らんが、幼稚な子供みたいな事をぱっと口に出す野郎だなってなんかイラッとくるからだな、恐らく。なんか、家庭の事情で色々諦めて諦観した境遇のゲイの男の子、って書かれてるけど、口に出す言葉が実に考えなし…。精神が若い、と言うんじゃなくて、単に幼稚に思えちゃうんだよなぁ…。木原さんの方が「酷い男(世間一般的に、モラルに照らして)」の描写は一枚も二枚も上だと思うよ。反発も同情も読者に抱かせる事なく読み進ませて、後で色々考えたくなる、と言う意味でも。木原さん読み続けて一休み、と思って他の積みを読んでるんだけど、木原作品と比べちゃってあかんわ、って状態だよ…特にBL的要素のあるものは当分読んじゃ駄目だな、これは…と言うのが正直な感想。作品全体の文章力は流石のプロ作家さんなんだけど、台詞と言うか会話で使われる喋る言葉が軽い。意識してるとしても、これではひねくれたBL読みは説得出来ないなぁ…(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内小説
感想投稿日 : 2013年8月23日
読了日 : 2013年8月23日
本棚登録日 : 2012年4月6日

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