不可能、不確定、不完全: 「できない」を証明する数学の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫―数理を愉しむシリーズ)

  • 早川書房 (2012年11月9日発売)
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感想 : 15
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第一部 宇宙の記述
第二部 不完全な道具箱
第三部 ゴルディロックスのジレンマ
第四部 到達できないユートピア
面白かったが、だいぶ読むのに時間がかかってしまった。さすがにラノベを読むようなスピードでは理解できない。というわけで第一部から第三部までは記憶の彼方なので、記憶に残っている第四部についてだけ。
ここでは、選挙を数学の観点から考えている。民主制において採用すべき投票方式を数学の観点で考えると、あちらを立てればこちらが立たずということになる(ケネス・アローの不可能性定理)。なんとなく多数決なら公平で正しいと思っていたが、細かく考えると何が正しいのかわからず、正しいと考えられるすべての条件を満たす投票方式を作ることは理論的に不可能というのが、無知を曝け出すようで恥ずかしいが、新鮮で一つ賢くなった気がした。第4部では、このほかギバード=サタースウェイトの定理(不誠実な投票の可能性を排除する投票方式はない)も紹介されている。知的好奇心をくすぐられる方は是非読んで欲しい。後悔しないと思う。
数学の知識はさほど必要ではないが、数学にアレルギーのある人には読破は難しいだろう。そういう人は本書を読もうと思わないだろうが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学
感想投稿日 : 2014年5月2日
読了日 : 2014年5月2日
本棚登録日 : 2013年3月23日

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