文化人類学者が、多くの人々が「生きる意味」を見い出せない現代日本の現状を分析し、「生きる意味」を生み出す社会を創造するための提言を行っている。
著者は、「・・・現代日本人を象徴する言葉、それは「透明な存在」という言葉である。・・・現代日本人の空しさの核心は、自分がどこまでも交換可能であるという意識からくる、「かけがえのなさの喪失」だ・・・もし私たちが自分を透明化させず、人生に自分なりのこだわりがあったり、自分の色やにおいをもっている人間ならば、社会から少々受け入れられなくても、それでも生きていける。」と言う。
個々人がダイレクトにマーケットに対峙することを求められる「グローバリズム」と、経済成長から医療の現場にまで浸透する「数字信仰」が、「生きる意味」の喪失に拍車をかけているとも言う。
そして、「これからはモノの時代ではなく、心の時代だ。・・・自分自身の心に素直になって、自分がいま一番何を求めているのかに従って生きていこう、モノの多さ、地位の高さ、そして「他者の目」からの要求に惑わされず、自分の感じ方を尊重して生きていこうということこそが「心の時代」なのだ。・・・人生の満足度の高い人、それは「一点豪華主義」で生きている人である。・・・「釣りバカ」のハマちゃんは強い。」と語る。
壮大なテーマを、抽象的な表現に留まらずに分かりやすく説いており、人生への向き合い方、日々の過ごし方を今一度考えさせてくれる、有意義な一冊と思う。
(2005年1月了)
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- 感想投稿日 : 2016年1月11日
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- 本棚登録日 : 2016年1月11日
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