臨床真理 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2019年9月21日発売)
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本棚登録 : 2246
感想 : 177
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柚月裕子さんデビュー作品。
きれいな色彩の表紙が気になり手に取った。

「共感覚」を持つ司は、誰にもその能力を信じてもらえず唯一慕ってくれていた彩も失い、孤独にすべての負を抱え込んで生きることを諦めているように感じた。次第に辛くても立ち向かう行動が多くみられるようになったのは、佐久間が司を信じ約束を守る行動を重ねたからだと司の佐久間に対する態度や思いの変化からもわかる。

佐久間は過去からの後悔と司を救いたい一心でどんどん行動していくが、-後先考えない性格なのか- 思考と行動が暴走する場面が多くヒヤヒヤした。元同級生の栗原が冷静かつ強力的でよかった。いいコンビ。
終盤、佐久間の安易な判断により大きな危機が訪れるも、佐久間の患者を思う強い意志と正義感からくる行動があったから真実が解明されたと思う。

事件については、途中まで真相を追ってどんどん深く広がっていくように感じたが、真犯人はもしやという勘が当たって珍しくサラッとわかってしまった。
自分の利益や欲しか考えない残念な大人たちの行動は本当に許せないし、被害者の子供たちを守るには佐久間や看護師:内田のような思いやりある大人が近くにいることって大切だと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年2月21日
読了日 : 2023年2月18日
本棚登録日 : 2023年1月14日

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