ボニン・アイランド(現在の小笠原諸島)。
それは祖国を離れ遥かなる海を渡り、苦難に耐え忍んでようやく辿り着いた人々が創り上げた、日本の最果てにある理想郷。
来る者を全て受け入れ、立ち去る者を温かく見送る、懐深い優しき楽園。
自分のルーツを探るため辿り着いた島・小笠原諸島。
バカンスに訪れる人の耐えない魅力溢れる島に、まさかあれ程の悲惨な過去があろうとは。
どこの国にも属さない”自由な浄土”のはずだったボニン・アイランドも、時代の波や国々の私利私欲に翻弄され、その姿も次第に変容を遂げていく。
自由は不自由。
そんな矛盾に胸塞がれる。
ボニン・アイランドは悲しい歴史も楽しい記憶も、全てが次世代へと受け継がれていく”許し”の島。
島で息づく魂は永遠に消えることはない。
それこそが海の浄土。
昔も今も、これからも、ボニンブルーは静かに訪れる者を待つ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
宇佐美まこと
- 感想投稿日 : 2021年1月10日
- 読了日 : 2021年1月10日
- 本棚登録日 : 2021年1月8日
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