猿橋勝子という生き方 (岩波科学ライブラリー 157)

著者 :
  • 岩波書店 (2009年4月7日発売)
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猿橋賞は女性科学者40歳くらいまでが受賞できるものであることはつい最近数学セミナーで知ったことだった。確か40歳というのは研究者として次の世代の科学者にバトンタッチするためだったと数学セミナーには書いてあった。

しかし、猿橋賞は知ってはいたものの猿橋勝子という人物がどういう人かは完全に知らなかった。また私のアイドル的存在の太田朋子さんが第一回の猿橋賞を受賞していることに運命の糸を感じた。

更に、吉岡彌生との対面があったことにも驚きを感じた。なぜなら、私の親戚が吉岡彌生に抱っこされている写真があるからだ。吉岡彌生は女性が学問の道に行くのが大変なことであることを伝えたかったのだろうけれど、気が合わなかったのだろう。

そのかわり、三宅泰雄が猿橋の学問への道を作る手助けをしてくれたように思う。比喩的には、ヒルベルトがネーターの活躍の道を作ったのかもしれない。ただネーターは比較的若死だったのに対して猿橋は長生きだった。これは重要で、社会奉仕、これは猿橋が真に願っていたことだが、長生きしないと、なかなかできない。ニュートリノの小柴昌俊さんも長生きしたので、財団法人を作ることができた。

以上の通りなのだが、昨今、問題になっている核兵器もしくは原発に、この猿橋勝子という人物が深く関わっていることを知らせる意図は2009年に出版されているので、絡んではいないと思うのだが、予言していたのだと思いたい。
第五福竜丸の白い灰、微量の試料から成分を導く。そしてその汚染水の追跡調査などやった。わずかなものでも、地球に影響を与えるという、地球化学という分野らしい。オゾン層の研究なともされていて、その領域は幅広い。

福島の問題、ウクライナ、北朝鮮を含む世界的な戦争の問題。ヒロシマ、ナガサキ、ビキニ環礁、フクシマという核の恐ろしさを経験している日本が立ち上がらないとならない問題がある。

女性の科学者はまだまだ少ない。性別で決定されることがなくなる方向で、みんなが活躍できる時代を作り上げたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書館
感想投稿日 : 2023年8月24日
読了日 : 2023年8月24日
本棚登録日 : 2023年8月19日

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