小説のヒロインが美人ばかりなのに憤慨してたのはジェイン・オースティンだったでしょうか。いや、笑わせていただきました。登場人物紹介欄から笑える本ってなかなかないですよ。
我らがヒロイン・キャサリンは、美人だと褒められれば大喜びできる程度の容姿と、ゴシック小説は大好きだけど歴史小説になるとお手上げというレベルの知性と、音楽も絵画もまるっきり、家の内装もどこを褒めたらいいのか分からないような教養の持ち主。性格も特別個性があるわけではありません。ただとにかく素直で正直、世間知らず。親友にないがしろにされたのにも気づかないし、他人に否定的な感情をもつにも時間がかかるという有り様です。「そんなやつ、とっとと喧嘩ふっかけて追いやってしまえ!」「いやそれ全然親友じゃないから。」と読者をやきもきさせるほどです。しかしその純朴さと素直な愛情で夫を手にいれるのですから、性格の良さは身を助けますねー。
たまに著者の視点を小説に登場させていて、その意見がまた面白い。小説家が自分の作品の登場人物に小説を読ませないのをけちくさいといい放ち、突然ストーリーに絡まない人間をだすような作法に反することはしていないと明言。ことあるごとに「普通小説の中では~」と例をひく。小説家としての立ち位置が実に興味深いです。小説のテーマが何かは読者の手に委ねるとなっていますが、これは「想像力を無駄に発揮せず、現実を見て自分の身の丈を受け入れるのが幸せへの近道」ということだと私は思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
海外小説
- 感想投稿日 : 2011年10月7日
- 読了日 : 2011年10月7日
- 本棚登録日 : 2011年10月7日
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