9人のトレッカーが雪山で不可解な遭難をしたディアドロフ峠事件。その真相を調べるために、関係者への聞き取りや、実際の現場に赴いて調査してたどり着いた真相とは?
実際にあった事件を元にした映画をまとめた本で知ったディアドロフ峠事件。極寒の雪山で、裸足で薄着や頭蓋骨陥没、舌だけがなくなるなどの遺体が見つかり、更に通常よりも高い放射線が検出されたことから、謎の事件とされている。
著者は丹念にトレッカーたちの後を追う。後半に実際の状況を想定して記録のように記述しているところがあるが、それまでに調査した結果があることから、真実味の増した記載になっている。実際、事件前に撮った写真や日記があり、現地までの工程は、かなりわかっている。著者はさらに実際にいくことで、現地の様子から改めて事件の原因について考察して、発生しない原因を削除していき、原因を絞って行った。インタビューの様子、雪山への挑戦など、それぞれの内容も戸惑いや紆余曲折の過程、フレンドリーになっていく様子など、著者の苦労と喜びが見えるのがよい。
記述は、1959年の事件に絡んだトレッカーの行動、捜索隊の行動と2012年の著者の調査の行動が互い違いに書かれており、著者が事件を辿るようになっているのが、おもしろい。また、1959年の記述では、ソビエト連邦下での様子も伺え興味深い。
辺地での調査も含め、丹念に調べて結果を導き出した著者に敬服したい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2019年10月25日
- 読了日 : 2019年10月21日
- 本棚登録日 : 2019年10月13日
みんなの感想をみる