まずはタイトルに驚いた。書店員が主人公で、2つの罪を侵したことが読む前からわかってしまう。もう少し良いタイトルはなかったのかと思いながらも読み進めていくと、これがなかなか面白い。
意味深なプロローグから始まった(終盤まで考えさせられた)物語は、やはりお目当ての書店員が登場し、進行していく。
書店員の正和は、ある事件から逃れるように地元名古屋から出て東京で書店員をしている。その正和の書店に入荷した本を見て正和は逃げ出した過去と向き合わざるを得なくなる。
正和が中学生の頃、同じ中学校の女子が殺害され、その切断された頭部を校庭に置くという残忍な事件が起こった。その事件の加害者は同じ中学校の男子であり、正和の幼馴染の創だった。
幼馴染ということもあり、正和の共犯が疑われ、正和も弟もイジメに遭い、弟はそれから引きこもりになり、正和は地元を捨て東京に逃げた。
そんな過去を持つ正和の書店に入荷されたのは、その事件の犯人が書いたとされる告白本だった。
ここから正和が事件と向き合うわけだが、その過程でまた新たな事件が起こる・・・。
読み終えた今、正和の犯した二つの罪について考えてみる。あれ?二つってどれとどれのことだろう?読み終えてなお、この小説と向き合うことになる。うーん。このタイトルは成功したと言わざるを得ない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリ
- 感想投稿日 : 2021年6月21日
- 読了日 : 2021年6月20日
- 本棚登録日 : 2021年6月2日
みんなの感想をみる