精神科医みたいだから、もっと専門的に分析してくれているのかと思ったら、そうでもなかった。
自分のついた嘘を真実だと思い込む人の代表例としてSTAP細胞騒動の小保方さんを紹介している。なぜあのような虚言を言うことができたかというと、それを信じてしまう一定の人(イネイブラー)がまわりにいるからという環境的な要因が挙げられる。そして嘘をつき続けているうちに本人も虚構と現実の区別がつかなくなってしまうようだ。でもその精神構造というか、思考傾向というか、内発的な要因がさっぱりわからない。それが知りたかったのに。
確かに小保方さんのことは自分も最初は信じたけど、あれは小保方さんを信じたというより理研という権威を信じたのであって、世間もそうじゃなかっただろうか。
うちの会社にも平気で嘘をついて、信用できない奴がいるのだが、問いただしていくうちに、こいつは自分が嘘をついていることを自覚できないんだな、ということにあるとき気づいた。それが頭にあって、この本を読んでみたのだが、さして得るものはなかった。
よく「騙すより騙されるほうがいい」なんていう人がいる。被害者をなぐさめる言葉としては良いのかもしれないが、騙される人(イネイブラー)が騙す人を助長するという構造に、どうやらなっているらしいので、そんな道徳観を良しとしてはいけないと思った。
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- 感想投稿日 : 2015年9月23日
- 読了日 : 2015年9月23日
- 本棚登録日 : 2015年9月23日
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