はいっ!ということでシブがき隊の楽曲を文字ってタイトルとしたわけですが、この『カポネ(上)』という作品、渋い表紙とは裏腹に、どこか滑稽で人情に厚い一人の若者が、禁酒法時代のアメリカはシカゴでギャングスターへの階段を駆け上っていくサクセスストーリーとして読むことができるご機嫌な作品です。
人を押しのけて生きるより、ひっそり慎ましく生きたいとか、ナンバー1にならなくてもいい、もともと特別なオンリー1だからと、努力するまえにあきらめる癖のついちゃった人に是非読んでもらいたい、とびきりの1冊です。
この本を読めば、人生は強引にいかないと切り開けないという教訓を得られること請け合いです。
では、どうぞ、お読みください!
…ということで完全にふざけて書いてますが、作者もたぶん、カポネに対して愛着を持ってこの小説を書いていると思う。
確かにカポネは犯罪に手を染めていくわけだが、自分のためというよりは「ファミリー」を守るためという大義のために行動している。なんか国家に盾突いている義賊のようなところがある。まともな仕事の斡旋とか教育支援とか、食糧支援とかも積極的に行うし、悪いことして稼いだ金だけど、良いことにも使っている。どこまで本気だったかわからないが、シカゴにカポネを頂点とする治外法権国家を夢見ていたんじゃなかろうか。将門みたいな奴かな…
そう考えると、下巻であきらかになるが、カポネの最期はちょっと可哀そうに思える。悪行の報いと言えばそれまでだけど。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年5月23日
- 読了日 : 2013年5月23日
- 本棚登録日 : 2013年5月23日
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