劇評家でもある著者が歌舞伎の世界を舞台に描くミステリは多々ありますが、本書はその中でも、歌舞伎の演目での有名な工夫やシーンについての『真相』を著者の知識と想像力を駆使して組み上げた見事な「にせ史実」として仕上げてみせたところで。
収録された14編、どれを読んでも作り話とは分かっているけれども、心底感心させられる見事な物語。描かれる役者のリアルさに、読者としては「これが真実では…?」という気分にさせる説得力が凄い。私はミステリファンであり歌舞伎ファンでもあるのですが、ホントにこんな物語が裏に潜んでたらいいなぁと魅せられます。
さらに解説に小泉喜美子が筆を振るってる一品が収録されていて、これまた歌舞伎とミステリ、そして本作について述べた見事な文章で、必見ですね。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
国内ミステリ
- 感想投稿日 : 2020年1月27日
- 読了日 : 2020年1月27日
- 本棚登録日 : 2020年1月27日
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