著者とカメラマンの中田氏が、アジア各国の鈍行列車に乗って旅をする。目的地にたどり着くよりも、鈍行列車に乗る道中そのものが題材だ。旅した場所はマレーシア、ベトナム、台湾など七つの国と地域。
時の流れのゆっくりさ加減や、猛烈な暑さ寒さ、それに電車に揺られる人々。決して恵まれた環境ではないが、時に不便を感じ、時に都市部との物価のあまりの落差に驚きながら、豊かではない中でも人々がその生活を楽しみ、したたかに生きている様が伝わってくる。
タイやフィリピンなどは特に、時の流れが非常に緩やかだ。決められた時間通りに電車が動いたり、サービスが行き届くなどということはほぼ期待できない。それでもどこか羨ましさを感じてしまう。便利になりすぎたが故にちょっとしたことにストレスを感じてしまう日本の状況と比べてしまう。
現地の人達同様、著者達も「どうにかなるさ」の精神で旅を楽しんでいる。いつかこんな旅をしてみたいと思わせる本だった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年7月21日
- 読了日 : 2021年7月21日
- 本棚登録日 : 2021年7月21日
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