紳士服販売員の29歳の馬込光代。出合い系サイトで知り合った清水祐一と男女の関係になり、強く惹かれるが、彼から殺人を告白されてしまう。自首をしようとする祐一を、光代が止め、2人で逃亡の旅に出る。
タイトルの「悪人」とは、誰を指しているのだろうか。
佳乃を殺めてしまった祐一。男を手玉にとる佳乃。恵まれた環境に育ち無慈悲な心を持つ増尾圭吾。祐一を置き去りにし捨てた母。高齢者を騙す悪徳商法業者。彼らの中にも「悪」はあるのではないか。
後半に描かれる祐一の不器用な愛情や、佳乃の両親の気持ちが胸に刺さる。愛するがゆえの悪。
テンポよく展開していくので、引き込まれてしまうが、虚栄心、閉塞感、そして孤独感に、胸が締め付けられる作品。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
吉田修一
- 感想投稿日 : 2019年8月15日
- 読了日 : 2019年8月15日
- 本棚登録日 : 2018年8月29日
みんなの感想をみる