「女子」という呪い

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  • 集英社クリエイティブ (2018年4月5日発売)
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メディアでたまに目にする、「夫の不倫に謝罪する」妻。
「頑張れ」「努力しろ」と言うわりには、「でも、男以上に成功するな」というダブルスタンダードを要求する社会。「女子力」とか「女性の活躍」という言葉への違和感。「そんなこと言ってるとモテないぞ」「お前は女の本当の幸せを知らない」などと余計なことを言ってくるオッサン。
子育てする男性が「イクメン」と言われ、介護をすれば「ケアメン」と名付けられ持ち上げられるのに、女が仕事して子育てして家事してその上介護までしても誰も名付けてもくれないし褒めてもくれないという現実。
仕事ができる女は時に「女のくせに」「女だてらに」と揶揄され、場合によっては「女を武器にしたのでは」なんて勘繰られもする。「女を使う女」は軽蔑される一方で、女らしい気配りや身ぎれいさは当然のように要求される。
セクハラには「場の空気」を壊さないよう笑顔であしらう技術まで求められ、それが「大人の女のたしなみ」みたいに誤解されている。「無知」を装おうことを求められ、なぜかいつも男に「上から目線」で「評価」され、点数をつけられたりしている。
このようなことが、私が思う「〈女子〉という呪い」である。
この社会で「女子」たちは「女のくせに」と罵られ、なのに常に女子力を求められる。上から目線で評価され、「女なんだから」と我慢させられる。これはもう、呪われているとしか思えない! この理不尽さと生きづらさを「なんだか変じゃない?」と問いかけ、解決のヒントを探るエッセイ集。日本版#MeToo を応援する1冊。
日本には、「女子」にかけられた呪いが蔓延している。石原慎太郎のような男尊女卑のオヤジに「産めるうちに産んだほうが良いよ」と言われるのに、育児休暇を取ることに後ろめたさがつきまとい、仕事を続けたくても保育園不足はなかなか解消されず、家庭と仕事の両立を完璧にこなし家事をやるのは当たり前、仕事では男性の同僚に脅威に思われないように男性を上回るような結果を出さず、仕事場などでのセクハラは上手くかわし旦那の浮気に腹を立てずやり過ごすのが大人の女子のたしなみとされ、成熟した女性であることを求められる一方で思春期の女性が恋愛や性に興味を持つと親や教師にいけないことと抑圧されてしまうという理不尽が、女性につきまとう。

そういう男尊女卑の価値観の押し付けの連鎖を断ち切るには、男尊女卑なことを言われたら性別を入れ替えて言い返すことが効果的。例えば、「女子なら○○出来て当たり前」と言われたら、「男性なら○○出来て当たり前って言われたらどう思います?」と言い返すことで、相手に自分の価値観の歪みを気づいてもらうきっかけになる。
女子の同僚を味方につけたり、仕事上の力関係に乗じたセクハラや理不尽な扱いに対抗することなど、泣き寝入りせず黙らないことが周りの女性の立場の向上に繋がる。男性は、女性の言い分に黙って耳を傾けて味方になることが大事。
女性が読めば「あるある」と勇気がもらえるし、男性は女性が向き合う苦境を理解出来る日本版#MeToo本。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年12月17日
読了日 : 2022年12月17日
本棚登録日 : 2022年12月17日

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