ノーザンライツ

著者 :
  • 新潮社 (1997年7月1日発売)
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本棚登録 : 88
感想 : 13

星野道夫のエッセイは「旅をする木」を先に読んだことがあるので似た話が多々でてきた。けどこれはエッセイの中でもアラスカの過去と行く末に焦点を当てている。プロジェクト・チェリオットを筆頭にアラスカが現代文明と衝突した出来事、そして確実に変わるアラスカの性質に翻弄される人々。激動の時代を生きているのだなと自分も思わされた。アラスカの人々も同じような気持ちを抱えて、未来に希望を持てず不安や焦燥感に駆られながら選択を迫られているのだ。勝手に仲間意識を抱いた。
それと自然に関する項で、誰にも見られない自然は意味がないわけではなく、ただ存在するということを知っているだけで何だか救われたような気になるというのがまさに自分の気持ちを代弁してくれている言葉だった。人も同じでただどっかで彼らの哲学を持ち続け、孤高に生きてくれていたら自分はそれだけで、自分のやっていることや考えていることも肯定されているような気がしてくるんだ。そういう存在は絶対に必要だからなくすことはできない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年11月10日
読了日 : 2016年11月9日
本棚登録日 : 2016年8月22日

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