「又、会うぜ。きっと会う。滝の下で」
4部作の中でも、三島本人が好んだのは奔馬だったとか。たをやめぶりな『春の雪』から一変、ますらをぶりな『奔馬』
私個人としては『春の雪』の精緻な美しさが好きだったけれど、『奔馬』の直情的な勢いのある文体もまた良い。
そして生まれ変わりの輪廻を示唆する一文一文が、ゾクっとする感覚をもたらす。
滝の下のシーン、白衣の男たちに鎮魂されるシーン、裁判での証言のシーン、「ずつと南だ。ずつと暑い」
三島由紀夫という男、浜松中納言物語を下地にこんな壮大な輪廻の大河が描けるのか、200年に1人とはまさにこのこと。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年6月20日
- 読了日 : 2021年6月20日
- 本棚登録日 : 2021年6月20日
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