たぶん、歴史において語られるのは、主に動きのあるもので、だから世の中は時代ごとに変化がみられる。でもその側面で絶望している語られない部分は、どの時代を通しても同じなのだと感じます。あるものから脱け出しても自由になることは出来ず、しかし脱け出してしまえばもう元に戻ることは不可能で、希望を持てず、唯一できる〈行動〉、つねにある自殺の機会を見送りながら生きていく。もう的確すぎます。そして、自己の問題ほど、主観的には悲劇でも客観的には喜劇なんだなと、それを痛感するような作品でした。
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カテゴリ:
文学 日本
- 感想投稿日 : 2019年1月6日
- 読了日 : 2015年4月16日
- 本棚登録日 : 2019年1月6日
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