李英への海里の嫉妬がせつない。近くにいて誰よりも良さを知っているからこそ生じるもの。お互いの意見を吐露して話すシーンが最高でした。
そして今回は悠子先生がもうすごい。
師匠としての心構え、母親としての思い、女優としての矜持。全てが見事に組み合わさって倉持悠子としての彼女が作られていて、そのどれもが魅力的。
「共同設計者として、そして共に現場で試行錯誤する仲間として、私はあなたという役者が育つ過程をいちばん近いところで見守り、たまに手を貸し、そして……いつかあなたが独り立ちした後も、五十嵐海里という役者の中に、自分が積んだ煉瓦をみつけてこっそり喜びたい。それが私の先生としての夢よ」
誰の中に残る自分。
それは逆に、自分の中にも誰かがいるということ。そうやって影響し合って、絡まりあって、僕らは僕らを造り上げていく。
わたしという人格はわたしであって、わたしだけではない。誰かが掛けてくれた言葉や思いが重なりあって、わたしが造られている。
だからこそ、別れは余計につらくなるのかなとか。最後の卵焼きのシーンがとても印象的でした。
李英と海里の二人の朗読のシーンも楽しみです。
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- 感想投稿日 : 2023年4月17日
- 読了日 : 2023年4月17日
- 本棚登録日 : 2023年4月17日
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