宗教を物語でほどく アンデルセンから遠藤周作へ (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版 (2016年8月6日発売)
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本棚登録 : 163
感想 : 13
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筆者の島薗さんは小説への造詣が深い。
古い小説から新しい小説まで、日本、海外、子供向け、大人向け、様々に、バラエティー豊かに紹介されていることがうれしく、飽きない。
紹介文に、各小説への愛を感じる。

この本を読むと、
(言われてみれば、当然だけど)宗教と物語は非常に近い関係にある。
ということがよく分かる。

宗教とは、人が生きる上での苦難に対して、なんとか生きていけるように、寄り添ってくれるものだと思う。(人は一人では弱くて生きられないので、寄り添って、支えてくれるものがあれば、生きていける。)

物語は、読者が自分と違う登場人物と同化し、物語世界を疑似体験することで、今の囚われている自分から解放され、物語のもっている何か(物語の本質)に触れることができる。

宗教を説明する際、論理的に効果などを説明するのよりも、ほかの人のストーリーとして話した方が、聞いている人に、より分かりやすく、「本質的な何か」を伝えられるのだと思う。なので、聖書は物語の宝庫なのだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年9月5日
読了日 : 2017年9月5日
本棚登録日 : 2017年6月3日

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