クマのプーさん (岩波少年文庫 8)

  • 岩波書店 (2000年6月16日発売)
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感想 : 171
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ゾゾを捕まえる話など、コブタのセリフで腹を抱えて笑いました。絶妙な翻訳だと思います。かなり昔の訳のため、ところどころ古めかしい言葉遣いはありますが、それはそれで味わい深く楽しめました。そもそも、原作が100年近く前の本なので、無理に現代風にすることもないと思います。

全体を通してほのぼのとしたユーモアに富み、登場人物も生き生きして魅力があります。何より、息子クリストファー・ロビンくんへの愛がすみずみまで満ちているので、まるで、ブランケットに包まれているような心地で、安心して、空想の世界にひたれます。それも、いまだに世界中で愛されている理由のひとつでしょう。

ぜんぶそれぞれ面白いと思いますが、とりわけイーヨーの誕生日は傑作ですね。友達のために心を尽くしたのに思うようには行かず、それでも視点を変えるとまったく上手くいってしまうんですからなんとも素晴らしい。そして深い。贈り物って、物って何なんだろうと改めて思いました。ツボから風船を出したり入れたりするイーヨーの姿はユーモラスであると同時に感動的でもあります。

プーさんの「いやんなっちゃう!」も癖になります。けつまずいた時とか、トゲが刺さった時など、自分でもちょっとマヌケで凹みそうな際にコレをいうと、一瞬でプーさんみたいに鷹揚になれます。

実は『タオのプーさん』を読むために本書を買いました。ディズニー・プーさんのイメージしかなかったので、ここでちゃんと原作を読もう!と決心した自分を褒めたいです。児童書ですが、大人が読んでも充分すばらしい内容でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年5月2日
読了日 : 2022年5月2日
本棚登録日 : 2022年5月1日

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