火の鳥7

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2009年8月20日発売)
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本棚登録 : 163
感想 : 13
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 今まで『火の鳥』を読んできましたが、どうも前衛的過ぎるというか芸術至上主義というか、独特の〝臭み〟が強すぎて後味が悪くてあまり好きになれなかった。
 しかし本作品は独特の〝臭み”は弱く、普通のマンガ作品に近く、読みやすいと思います。
 親しみやすい初期の手塚短編作品に近い作風・画風で「火の鳥」を描いたという感があります。
 おなじみの手塚スターシステムから登場しているキャラも多い。
 例えば、東南西北、レッド公、丸首ブーン等。 
 そして弁太はどろんこ先生(1976年)?
 ドクター・キリコまで登場しているのには驚きました。
  
 今までの『火の鳥』は重々しく鬱展開だったのが、乱世編では源平合戦を舞台に軽快にテンポよく進行し、ギャグシーンも頻繁に挿入されます。
 そう考えると、何だか他のキャラが他の漫画家のキャラ風に見えてきました。
 私はマンガに詳しくないので通り一遍のイメージしか持っていませんが、失礼を承知で言えば、源義経は白土三平風に、木曽義仲は横山光輝風に、平知盛は永井豪風?
 そして平重盛は手塚治虫の絵には珍しい画風だと思います。とり・みきさんが杉浦茂をパロディ化して描いているような画風です。
 つまりまあこういったマンガマンガしたキャラでギャグも入れながら結構庶民的なストーリー展開なので読みやすい。
  
 私が読んだ朝日ソノラマ版ではラストに火の鳥が現れて物語が冒頭に戻るという展開ですが、角川版ではその部分がカットされているようです。
 私はソノラマ版の方が好きだなあ。
 というわけで『火の鳥』は読む人を選ぶと思いますが、乱世編は幅広い方々におススメできると思います。
 それも、朝日ソノラマの大きな版で読むことをお勧めします。
  https://diletanto.hateblo.jp/entry/2019/10/07/203528

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 700 芸術・美術
感想投稿日 : 2019年10月8日
読了日 : 2019年10月8日
本棚登録日 : 2019年10月8日

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