地球の悪魔 (手塚治虫漫画全集)

著者 :
  • 講談社 (1977年6月13日発売)
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感想 : 10
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【地球の悪魔】
 本作品の原題は『地球1954』といって1954年に公開されたもののようです。当時の日本はあの悲惨な戦争が終わって復興しつつある時代で、科学文明がもたらす未来に希望が持てた時代だったのでしょう。一方、手塚先生は科学のもたらす負の側面にも危機感を持ち、警告するメッセージも本作品に込めています。
 手塚治虫自身を始めとして手塚先生のマンガ家仲間も多数出演し、筆が乗っています。パチンコ屋の子分の愚連隊の一員に中年期の石森章太郎らしい人もいます。当時石森章太郎はまだ若かったはずですが(というよりデビュー前だ)。謎の怪人・デモノバースの描写も連獅子の動きを思わせる流暢さに躍動しています。
 終戦後の解放感と自然の豊かさ、この心地よい空気感の中で展開されるSF活劇!私の大好きな作品です。

 私は本書・手塚治虫漫画全集第9巻は中学時代に購入しました。
 私が住んでいたのは小さい書店が1軒しかない田舎の町でしたが、今は無きローカル私鉄を30分乗って行った隣の市には小さな書店が複数あり、小さな古本屋も1軒ありました。その古本屋に手塚治虫漫画全集が何冊か入っており、そこで購入したものです。奥付を見ると1977年6月15日発行の初版。手塚治虫漫画全集の第一回配本です。和歌山県にある小さな市とはいえ、手塚治虫漫画全集の第一回配本を買った人がいて、それを買い取って販売していた古本屋があったのです。日本人の出版文化の水準は高かったのですね。

【大洪水時代】
 ハッピーエンドのように終わっています。
 しかし現実問題として、その後どうなるのでしょうか。
 むしろここからが本当の物語の始まりなのかもしれません。
 
OLDIES 三丁目のブログ
 手塚治虫【地球の悪魔(地球1954)】【大洪水時代】
  https://diletanto.hateblo.jp/entry/2023/10/29/204117

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 700 芸術・美術
感想投稿日 : 2023年10月30日
読了日 : 2023年10月30日
本棚登録日 : 2023年10月30日

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