花紋 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1974年8月30日発売)
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本棚登録 : 330
感想 : 39
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あれ?これ、山崎豊子?彼女の本を読んだことがあればあるほど、そう思ってしまうだろう。いつもは社会の腐敗について考えさせられるが、今回はある女の一生を通して人生というものを考えさせられた。

今の時代でも、自分で選んだ結婚相手を親が気に入らず、別れを選ぶカップルがいる。しかし花紋を読むと、それが正しい選択なのかわからなくなってしまう。

自分の意思を尊重する現代的な女性であった郁子が、保守的な結婚をする。保守的な女性ならそれを受け入れ徐々に順応するだろうが、郁子は最初から受け入れず徐々に拒絶を強める。

保守的な家系、意地の悪い継母や妾腹、腹黒い夫が郁子の不幸を一層際立たせるが、郁子自身にももう少し順応する力があれば、数段幸せに暮らすことができたかもしれない。

現実を受け入れる力、それが幸せ力なのだろうと思った。自分も我流を貫き通すことがあるので、この本に学ばなければならないだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本の名作・エッセイ
感想投稿日 : 2013年6月12日
読了日 : 2013年6月11日
本棚登録日 : 2013年6月12日

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