花紋 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104072

感想・レビュー・書評

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  • 歌壇に彗星の如く現れて消えていった女流歌人の一生のお話。
    とても引き込まれた。
    あっという間に読んでしまった。
    歌人の息子の妹という全くの第三者の立場から見た話というのがいい。
    謎めいていて彼女の生涯とはどんなものだったのか続きが読みたくて仕方なくなる。
    運命の恋人と引き裂かれ政略結婚させられたのは可哀そうだが逆に夫の立場から見ればまた別の言い分があると思った。

  • あれ?これ、山崎豊子?彼女の本を読んだことがあればあるほど、そう思ってしまうだろう。いつもは社会の腐敗について考えさせられるが、今回はある女の一生を通して人生というものを考えさせられた。

    今の時代でも、自分で選んだ結婚相手を親が気に入らず、別れを選ぶカップルがいる。しかし花紋を読むと、それが正しい選択なのかわからなくなってしまう。

    自分の意思を尊重する現代的な女性であった郁子が、保守的な結婚をする。保守的な女性ならそれを受け入れ徐々に順応するだろうが、郁子は最初から受け入れず徐々に拒絶を強める。

    保守的な家系、意地の悪い継母や妾腹、腹黒い夫が郁子の不幸を一層際立たせるが、郁子自身にももう少し順応する力があれば、数段幸せに暮らすことができたかもしれない。

    現実を受け入れる力、それが幸せ力なのだろうと思った。自分も我流を貫き通すことがあるので、この本に学ばなければならないだろう。

  • 旧家の総領娘であり、歌人御室みやじの秘められた恋と数奇な運命をたどる。

    今までこの方、社会派の作家さんだと思っていました。『不毛地帯』とかが有名すぎて。
    宮尾登美子といい、この作家さんといい、円熟した筆で描かれる女性の一生というものは読みごたえ満点です。目がくらむほどきらびやかで豪奢な反面、がんじがらめで窮屈な旧家の様子が生半可ではない描写力で描かれていました。
    波瀾万丈とはまさにこのこと。

  • 山崎さんの本を始めて購入して読みました。
    文章から伝わってくる空気、景色、人物がとても好きです。

  • 大分前に古本屋で購入してそのまま読まずにいた本です。今日読み始めて暇を見つけ見つけ読み、今読み終わりました。
    やはり文章が上手ですね。畳み掛けるような物語の展開にいつの間にか引き込まれてしまいます。

    一言で言うとこの本の主役は時代と言うものだろうな、と思いました。今の日本でも勿論旧家のしきたりなどはあるでしょうがこれほどの重みと執念にも似た確執で受け継がれはしないだろうと思うのです。
    そして解説にもありましたが実は一番不幸なのは婿養子だったのでは?と思わなくもありません。

    いまや携帯電話やメールで世界の端まで連絡がすぐに取れる時代。便利になったけれども物語性は大分薄れたかもしれないな、と思いました。
    面白かったです。

  • なんて悲しく酷く、そして気高い生涯なんでしょう‥。美貌と、才能と、大地主の長女としてのあふれるほどの富を持ちながら、突如 早逝されたと記され、歌壇から消息を絶った歌人・小室みやじ。しかし彼女は生きていたのです。その謎をゆっくりと紐解くように、彼女に54年間付き添った老婢のよしが語り始めます。

    大正時代の美しい 尊敬語、謙譲語で語られる文章は、現代の私たちには 読みづらいと感じるかもしれませんが、それこそがミステリアスで残酷な運命をたどった 小室みやじをよく表現していると思います。

    このお話にはモデルがいると噂され、ネットでもこの人では?と名指されていて、あとがきでは作者はきっぱりと否定していますが、 この時代、 似たケースはあったのではないでしょうか。

    古い因習にがんじがらめにされ一生を棒に振ってしまった美しく 気高い女性たちが 他にもいたような気がします。

    巻末の富士正晴さんの解説は無い方が良かったように思います。 男が描けていないと批評されてますが 、本書は 女を書いた小説です。主人公に苦しみを与えたのは全て男たちの仕業です。
    富士正晴先生には申し訳ないですが 、「だから 男って女を分かっていない」と申し上げたいです。

  • 濃厚な心情の描写に、心がひりついた。
    終始、ホラー小説のような気味の悪さが漂っていた。
    サスペンスなのか?いや、恋愛がテーマか?とも思ったが、そんなどころではない小説だった。
    幽霊や怪異より怖いものは人間だと思う。

  • この人の作品は読んだものの全部強い衝撃があるけど、小説で泣くか、、
    女流作家さんで好きな人のひとり

  • 巻末の富士正晴の解説が非常に良い。もちろん作品も良いのだが。

  • 超流し読み

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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