- 本 ・本 (424ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104072
感想・レビュー・書評
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明治大正に生きた閨秀歌人御室みやじの数奇な運命を描いた一作。
短歌のことは分からずともその展開にトリコにさせるのはさすが山崎豊子といったところ。
河内長野の因習に囚われ、自由に生きることが出来なかったみやじの苦悩を描く。
昔の慣習に囚われすぎた昔の人々は今となっては納得できないものの、当時としてはシリアスだった面も伺える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
山崎豊子さん作、女主人公の作品の中では今のところこちらがベストとなりました。
歌人御室みやじこと葛木郁子の人生を一時彼女と共に暮らした女学生が訪ね聞き歩く形で綴られる物語。
山崎豊子さん作品としては個人的に新鮮さを感じ楽しんで読めた。 -
旧家の総領娘であり、歌人御室みやじの秘められた恋と数奇な運命をたどる。
今までこの方、社会派の作家さんだと思っていました。『不毛地帯』とかが有名すぎて。
宮尾登美子といい、この作家さんといい、円熟した筆で描かれる女性の一生というものは読みごたえ満点です。目がくらむほどきらびやかで豪奢な反面、がんじがらめで窮屈な旧家の様子が生半可ではない描写力で描かれていました。
波瀾万丈とはまさにこのこと。 -
山崎さんの本を始めて購入して読みました。
文章から伝わってくる空気、景色、人物がとても好きです。 -
大分前に古本屋で購入してそのまま読まずにいた本です。今日読み始めて暇を見つけ見つけ読み、今読み終わりました。
やはり文章が上手ですね。畳み掛けるような物語の展開にいつの間にか引き込まれてしまいます。
一言で言うとこの本の主役は時代と言うものだろうな、と思いました。今の日本でも勿論旧家のしきたりなどはあるでしょうがこれほどの重みと執念にも似た確執で受け継がれはしないだろうと思うのです。
そして解説にもありましたが実は一番不幸なのは婿養子だったのでは?と思わなくもありません。
いまや携帯電話やメールで世界の端まで連絡がすぐに取れる時代。便利になったけれども物語性は大分薄れたかもしれないな、と思いました。
面白かったです。 -
因習にがんじからめのとある名家の人間模様、ヒロインの生涯を侍女の回想で綴った作品。
なんで祖父は正妻の子である息子=後継者一家と妾の娘たちを同居させたのだろう。そこから全部こじれている気がする。
名家の総領娘として大切に育てられたのは結構だが、その特権的地位もライフスタイルもすべて家族制度によって与えられたもので、それ(婿養子を取る)を拒否して和歌の道を取るならば家出、駆け落ちしかないと思う。婿養子さんとギスギスするのはあんたが悪い。
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なんて悲しく、そして気高い生涯なんでしょう‥。美貌と、才能と、大地主の長女としてのあふれるほどの富を持ちながら、突如 早逝されたと記され、歌壇から消息を絶った歌人・小室みやじ。しかし彼女は生きていたのです。その謎をゆっくりと紐解くように、彼女に54年間付き添った老婢のよしが語り始めます。
大正時代の美しい 尊敬語、謙譲語で語られる文章は、現代の私たちには 読みづらいと感じるかもしれませんが、それこそがミステリアスで残酷な運命をたどった 小室みやじをよく表現していると思います。
このお話にはモデルがいると噂され、ネットでもこの人では?と名指されていて、あとがきでは作者はきっぱりと否定していますが、 この時代、 似たケースはあったのではないでしょうか。
古い因習にがんじがらめにされ一生を棒に振ってしまった美しく 気高い女性たちが 他にもいたような気がします。
巻末の富士正晴さんの解説は無い方が良かったように思います。 男が描けていないと批評されてますが 、本書は 女を書いた小説です。主人公に苦しみを与えたのは全て男たちの仕業です。
富士正晴先生には申し訳ないですが 、「だから 男って女を分かっていない」と申し上げたいです。
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この人の作品は読んだものの全部強い衝撃があるけど、小説で泣くか、、
女流作家さんで好きな人のひとり
著者プロフィール
山崎豊子の作品





