野中広務 差別と権力

著者 :
  • 講談社 (2004年6月29日発売)
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本棚登録 : 192
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野中広務という政治家を通して、差別や人権、金と権力という現代日本の政治システムを陰に陽に動かした力を描く。差別はいけないという通り一遍のタテマエではなく、本書の執筆自体を当事者である野中自身に問い詰められながら、それでも書くことを「業」として選ばざるを得なかった著者の気迫がにじむ。
あまりに情報収集とその処理という実務能力に長けていたため、権力への階段を駆け足で上がっていった野中は、一方でその師である角栄のような「大きな構想力」はなかったと著者は言う。いつしか目の前の仕事を誰よりも早くこなすことに自らの存在意義を見出し、所謂「一番病」となって官僚機構に操られてしまう。そして最後には「総裁」という大きな壁の前にまたしても自らの出自が立ちはだかる様を見せつけられ、永田町を去る。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年12月23日
読了日 : 2008年6月28日
本棚登録日 : 2013年12月23日

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