原作者の遺志に背いて映像化された「坂の上の雲」。同時期に連載されていた本作。日ロ戦争。歴史文学と記録文学。事実が淡々と記述されてるだけのようでいて、引き込まれる。その作風にはいつも感心させられる。ロシア側の立場での描述も長い。両者の視点で考えられる。勝利したのは日本。負けていれば独立国としての存続はなかっただろう。一方、得た者は乏しい。そして、失ったものも大きい。夥しい数の戦死者、戦傷者。政情不安。米国の警戒。そしてあの大戦につながっていく。TVドラマは美しく作られる。だが、現実の戦争はきれい事ではない。
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吉村昭
- 感想投稿日 : 2023年7月15日
- 読了日 : 2023年7月14日
- 本棚登録日 : 2023年7月14日
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