生物はなぜ死ぬのか (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2021年4月14日発売)
3.57
  • (67)
  • (194)
  • (176)
  • (30)
  • (13)
本棚登録 : 2498
感想 : 224
4

ーつまり、死は生命の連続を維持する原動力なのです。本書で考えてきた「生物はなぜ死ぬのか」という問いの答えは、ここにあります。
本文より引用

ここ一週間以上、体調を崩して本を読む事ができなかったのだが、久々に読書ができて嬉しい。しかしまだ頭がぼーっとするので全て頭に情報が入ったかどうか…
それはさておき。
タイトルに惹かれて手に取った本書。きっと私以外にもたくさんの人が興味を示すテーマである事だろう。本書は生物学の観点から、様々な視点から生物の絶滅や進化、そして死について語る。
「生まれてきた以上、私たちは次の世代のために死ななければならないのです。」という言葉は強く印象に残る。
次の世代のために死ななければならないヒトと、死なないAI。そういった見方も興味深かった。
そして死を意識するのはヒトだけであるとしたうえで、なぜヒトは死を恐怖するのか?について、「ヒトにとって「死」の恐怖は、「共感」で繋がり、常に幸福感を与えていてくれたヒトとの絆を喪失する恐怖なのです。また、自分自身ではなく、共感で繋がったヒトが亡くなった場合でも同じです。」と綴られており、なるほど確かにと頷いた。
共感能力が高いからこそ、ヒトはここまで進化してこれたし、死に怯え、悲しむ。
難しく感じる部分もあったが、思った以上にするりと読めた。生物はなぜ死ぬのか。最後まで本書を読んでも、全てが釈然としたわけではない。きっとそれこそ、死ぬまで考えるテーマになるのだろう。これからもヒトが追い続けるテーマなのだろう。
そう思えば思うほど、死と生の奥深さを改めて感じる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF/科学/生物etc
感想投稿日 : 2023年9月5日
読了日 : 2023年9月5日
本棚登録日 : 2023年9月5日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする