★2016年1月3日読了『師走の扶持 京都鷹ヶ峯御薬園日録』澤田瞳子著 評価B
先日読んだ『若冲』の著者、澤田瞳子の最新作。ただし、これは、短編連作物。幕府直轄の薬草園である京都鷹ヶ峯御薬園に働く女薬師の元岡真葛(もとおかまくず)の周りで起こる病気を元にした物語を巧みに人情を絡めて人生の機微を紡ぎだす。今回は新作に飛びついたが、既に2作ほど出ているようだ。ただ、短編なので、特別順序が問題になることはなさそう。
どの作品も時代背景を読み込みながら、そこに生きる人々の思いと生活を描き出していて興味深い。佐伯泰英氏のように剣豪小説ではないので、殺陣が毎回出てくるわけでもない。したがって、物語の盛り上がりを作るのが難しいはずだが、そのハンデも感じさせないのは、澤田氏の筆力が優れているからなのだろうか?
糸瓜の水
瘡守
終の小庭
撫子ひともと
ふたおもて
師走の扶持
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
時代小説
- 感想投稿日 : 2016年1月4日
- 読了日 : 2016年1月3日
- 本棚登録日 : 2016年1月3日
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