下り坂をそろそろと下る (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2016年4月13日発売)
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人口減少と高齢化が進み、必然的に経済成長も低下していく日本は、衰退という坂道を下る途中である。せめて気楽に安全に下れないかという著者の思いが詰まっている。

著者が指摘する通り、地方には「文化資本」といって、人々が知的好奇心をもとに集まり交流できる空間、すなわち若者にとって偶然の出会いの場が無い。これは映画館とかロードサイド型ショッピングセンターではなく、大学とか趣味のサークルなんかを言うのだろう。そのうえで著者は、地方の人口減少の課題は、就労環境改善ではなく、「出会いの場を作る」ことであると指摘している。

私も地方出身だが、「若者どうしの知的・文化活動」という交流機会は一切無かった。街を歩く若者は通学する中高生、図書館も高齢者に交じって中高生がいる程度。スキー場も中高齢層とファミリーだけ。そして実家のある集落では排他的な雰囲気のムラ社会。これでは家に籠ってスマホでSNSかマッチングサイトを覗くしか無いのだろうか?

一方、著者の参画する豊岡市や四国の活動を知って、面白そうだと思った。最近は、田園地帯の中に国際交流の大学が進出したり、地方に移転した20代メンバー中心のスタートアップ企業もある。旅行がてら、こういったコミュニティを見学してみたいとも思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年2月10日
読了日 : 2022年2月9日
本棚登録日 : 2022年2月5日

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