人口減少と高齢化が進み、必然的に経済成長も低下していく日本は、衰退という坂道を下る途中である。せめて気楽に安全に下れないかという著者の思いが詰まっている。
著者が指摘する通り、地方には「文化資本」といって、人々が知的好奇心をもとに集まり交流できる空間、すなわち若者にとって偶然の出会いの場が無い。これは映画館とかロードサイド型ショッピングセンターではなく、大学とか趣味のサークルなんかを言うのだろう。そのうえで著者は、地方の人口減少の課題は、就労環境改善ではなく、「出会いの場を作る」ことであると指摘している。
私も地方出身だが、「若者どうしの知的・文化活動」という交流機会は一切無かった。街を歩く若者は通学する中高生、図書館も高齢者に交じって中高生がいる程度。スキー場も中高齢層とファミリーだけ。そして実家のある集落では排他的な雰囲気のムラ社会。これでは家に籠ってスマホでSNSかマッチングサイトを覗くしか無いのだろうか?
一方、著者の参画する豊岡市や四国の活動を知って、面白そうだと思った。最近は、田園地帯の中に国際交流の大学が進出したり、地方に移転した20代メンバー中心のスタートアップ企業もある。旅行がてら、こういったコミュニティを見学してみたいとも思った。
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- 感想投稿日 : 2022年2月10日
- 読了日 : 2022年2月9日
- 本棚登録日 : 2022年2月5日
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