15年ぶりに再読した。リスボンは私も一番好きな街なので、主人公みたいな女性がいたら惚れてしまうだろう。と思って手に取ったものの、「選ばれない男」という立場から見ると、リアリティーがあって残酷な展開でもある。15年前は、読んでいる途中からイライラし、読後にこの本を放り投げた記憶がある。
さて、今回は冷静になって丁寧に再読。
主人公の「似た者同士のカップルであるべき」主義は、今までの人生経験を納得させるための言い訳だったのだろう。そして、カップルの釣り合いに捕らわれつつも、やっぱり自分は「イケメン、高嶺の花」を求めてしまうあたりは、身勝手ながらも人間臭さを強く感じた。欲を言えば、自分の矛盾に気づいて苦しむ描写がもう少しあって欲しかった。そこまで主人公が成長するにはもう少し年月が必要か。。
ラストシーン、主人公は標本の蝶のようにピンで固定された状態から解き放たれ、大空へ羽ばたいて行った。この選択の結末はどうなるか分からない。続編は無くて良い。「知らないことはいくらでも想像できる」のだから。
画家の青年に出会い、自分自身の可能性に気づき、人生でずっと抱いていた「同質志向とコンプレックスの呪縛」から解き放たれる形となった。短期的には「選択の間違い」でも、長期的にはとても大事な経験なのだろう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年2月22日
- 読了日 : 2022年2月22日
- 本棚登録日 : 2022年2月19日
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