奥深いお茶の世界をほんのちょっとだけだけど、垣間見ることができた
それと、同時に今は、忘れ去られてしまおうとしている季節のサイクルに沿った日本人の暮らしの美学と哲学を思い起こされた
お茶の心得はなくても、かつての日本人の生活と心には、四季を愛で、楽しみ、その変化に合わせた暮らしが確かにあった
お茶の作法や道具の美しさ、茶室のつくりなど、文章だけで読み取ることは難しかったが、昨年観た映画か理解を助けてくれた
生き方を示唆してくれる味わい深いフレーズもたくさんあった
☆人生に起こるできごとは、いつでも「突然」・・・だからこそ
会いたいと思ったら、会わなければいけない
好きな人がいたら、好きだと言わなければいけない
花が咲いたら、祝おう。恋をしたら、溺れよう
嬉しかったら、分かち合おう。
幸せな時は、その幸せを抱きしめて、百パーセントかみしめる
それがたぶん、人間にできるあらん限りのことなのだ.
☆人の心も季節によって変化する。開く、閉じる、また開く
そのサイクルが「呼吸」のように繰り返される
世の中は、前向きで明るいことばかりに価値をおく
けれど、そもそも反対のことがなければ、明るさも存在しない
どちらも存在して初めて、奥行きが生まれるのだ
どちらが良く、どちらが悪いというのでなく、それぞれがよい
人間には、その両方が必要なのだ
☆過去や未来を思う限り、安心して生きることはできない
道は一つしかない。今を味わうことだ。過去も未来もなく、この
一瞬に没頭できた時、人間は自分がさえぎるもののない自由の中
で生きていることに気づくのだ
☆雨の日、雨を聴く。雪の日は、雪を見る。夏には夏の暑さを、
冬には、身の切れるような寒さを味わう・・・
どんな日も、その日を思う存分味わえるなら、どんな日も
「いい日」になるのだ 『日日是好日』
散歩の途中、道端の草花に目を向けたり、頰を撫でる風の変化に気づくことができる心の余裕を持ち、毎日の生活を楽しみたい
雨の音の違いにも耳を傾けてみたいと思った
せっかく美しい四季のある日本に住んでいるのだから・・・
そんな思いを抱かせてくれる静かな上品な本だった
- 感想投稿日 : 2019年8月18日
- 読了日 : 2019年8月18日
- 本棚登録日 : 2019年8月4日
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