『 友へ最上のものを』という思いで、昭和・戦中・戦後
発行され続けた少女向け雑誌があった。その名も
「乙女の友」
全国の少女に煌めくばかりのときめきと明日への希望を与えた雑誌
雑誌の附録も単なるおまけとは言い難い素晴らしいものだった
日本全土が戦争一色になっていき、軍部や政府の圧力が強くなり、多くの雑誌が消えていく中、この編集部は、余儀なく方向転換しながらも、生き残り、未来へつなげることを選択した
なぜならこの雑誌は少女、乙女の友達だから。たとえ荒廃した大地に置かれようと、女性はそれに絶望して死にはしない。一縷の希望、僅かな光でもある限り・・・
小学校しか出ていない佐倉ハツは、有賀主筆のともした灯を消さず、次へと繋ぐことに全力を注ぐ
こんなにも一冊の少女雑誌に命をかけた人々があったのだと感動した
70年もの年月を経て、施設に届けられた日章旗にくるまれた小さな箱とそこに入れられたメモ
五線譜の音符に託された符帳
「かなたのともからありがさまへ
いつまでもおしたいしております」
「親愛なる波津子
私は永遠にあなたのもの」
戦争によって引き裂かれたかのように見えた二人の愛は、ちゃんと繋がっていたのだ
全くのフィクションだと思い読んでいたが、ブク友さんのレビューを読んで、モデルになった本があったのだと知った。昭和13年の1月号についた小箱に入った『フローラルゲーム』も実在したことに余計に感動した
Amazonで復刻版が高額ではあるが出品されていた
想像通りの女性ならいくつになっても胸がときめく素晴らしいものだった
- 感想投稿日 : 2020年11月1日
- 読了日 : 2020年10月31日
- 本棚登録日 : 2020年10月29日
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