無邪気に簡単に気楽に描いているように見せてあるから、だれでも単純に好きになれるし、だからこそ見逃されやすいとも言える奇妙なバランスで成り立っている。隣ですやすやと眠るあの子の見る夢を知る術がないように、懐かず名付けさせてはくれない世界が拡がっている。
ポエジーとノスタルジアが寄り添う空。過去と未来、彼岸と此岸、時間と空間が溶け合う海。言語とわたしの境界が透過された街。物語の出口を示す標識が至るところに立っているのを横目に、右も左もわからないふりをして迷ってみる。後ろも前もないものと横に並んで手を取り合って。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2021年6月7日
- 読了日 : 2021年6月7日
- 本棚登録日 : 2021年6月7日
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