フランコ率いる反乱軍との戦いに敗れ、スペイン北部の山中で生き抜く敗残兵の姿を描いた物語。
始まりから過酷で、それが約10年続く。集団的戦闘が終わり、周囲全てが敵となった状況で、厳しい自然の中で生き抜くとは一体どういうことであろうか。
作者は詩人であり、そのためか描写には非常に透明感がある。感情を排して事実のみを述べているようで、現実的な過酷さに比べ、彼らは淡々と、あるいは飄々と生きているようにも見える。
それでいて、各章に該当する2、3年ごとに、その過酷さが牙を剥く。
戦争の悲惨さを描く物語ではあるが、反戦小説ではない。敗残兵となるに至ったもともとの戦争については、詳しくは触れていない。
なぜ生きるのか、何のために生きるのか、この物語は語らない。
ただひたすらに、ひたむきに生きる人々の姿を忠実になぞる。その生き様が、死に様が、静かに降り積もる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
物語
- 感想投稿日 : 2016年9月26日
- 読了日 : 2016年9月26日
- 本棚登録日 : 2016年9月26日
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