12歳の少女クローディアは、両親の不公平さに不満を持ち、3歳年下の弟ジェイミーを連れて、ニューヨークのメトロポリタン美術館に家出をします。メトロポリタン美術館の中で寝起きをするうちに、クローディアはミケランジェロ作と言われる天使の像に惹き付けられ、天使の像が本当にミケランジェロの作かどうかという謎を解くことにします。やがて二人は、天使の像を美術館に売ったベシル・E・フランクワイラー婦人を訪ねることにしますが…。
「5・6年生に“本当のこと”というテーマでブックトークをするのですが、何かよい本はないですか?」と聞いて、司書さんに教えてもらったのがこの本でした。その時は、同じカニグズバークの『800番への旅』が全然面白くなくて挫折していたので、実際に手には取りませんでしたが、ずっと気になっていて、やっと読むことが出来ました。
最後まで読み進んで、最後の最後でやっと、(ああ、なるほど!)とすとんと腑に落ちることになりました。司書さんが、“本当のこと”のテーマとしてこの本を挙げたのは、ドンピシャの内容だったことが分かったからです。自分は訳文が苦手なので、読み進めるのにかなり苦労しましたが、苦労して読んだのが報われたと思えるすっきりとした読み終わりとなりました。
クローディアが手に入れたかったものは何なのか。天使の像の真実は。
天使の像のことはともかくとして、クローディアの持つ感覚は、同じ小5小6の児童たちには理解できるでしょうか?今までと違う自分になりたい。それが手に入れられるまでは帰らない。
その家出の結果、クローディアは何を手に入れたのか?
自分としては、結構意外なものを手に入れたなぁという感じです。
人間の心を支えるものにはいろいろな種類があるのだなぁと思いました。
挿絵がいいなぁと思いましたが、カニグズバーグ自身の挿画だそうです。
訳文はやはり苦手で、弟のジェイミーが間違った言葉を使うところで違和感を感じたし、彼の口癖の「ぼろっちいの」が特に違和感が大きかったのですが、最後でクローディアにヒントを与えるためにその口癖を使ったことが分かり、無理あるんじゃないか?と思いましたが…。
12歳の少女が弟と一緒に家出をし、メトロポリタン美術館に忍び込んでその中で一週間も寝起きをし、果てはミケランジェロの作と言われる彫像の謎を解く、というストーリーは面白いと思うけれど、高学年の児童にこのお話が読みやすいかどうかは少し疑問。
- 感想投稿日 : 2018年1月15日
- 読了日 : 2018年1月7日
- 本棚登録日 : 2018年1月7日
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