物語というほどドラマティックではないが、教科書というほど堅苦しいわけでもなく。
注目されることが多い地球の誕生や、多様な生態系が登場するカンブリア紀の詳細はもちろん、以降のあまり語られない、現代と見間違えるような海洋生物が登場するオルドビス紀、生物が陸上に進出し始めるシルル紀、背骨とあごをそなえた魚が登場してから陸上にその住処を広げていくデボン紀まで。
時に筆者の体験や、発見に寄与した科学者たちの紹介を交えつつ、軽妙で読みやすく解説される。
全史というタイトルであるからには偉大な深淵が暴かれることを期待してしまうが、本書においてさえ、地質時代区分間の数億年の空白や、氷河期の原因、動物の指が5本である理由は分からない。
だが、シアノバクテリア、ストロマトライト、超好熱性化学合成無機独立栄養生物など、ここ数十年の間で明らかになった歴史の真実は、過去生命が誕生してから40億年の中で一番であろうということは理解できる。
地球を探検するには遅すぎ、宇宙を探索するには早過ぎる時代だが、過去の地球と進化の秘密を探求するには、これ以上の時代はないのかもしれない。
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- 感想投稿日 : 2017年5月4日
- 読了日 : 2017年5月4日
- 本棚登録日 : 2017年5月4日
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