小説を書くって、ある程度の経験が必要だと思い込んでいた。いろんな感情を自分の中の引き出しに溜めておいて必要な時に取り出して表現するのかと思っていた。語彙力があるのはお勉強で補えるだろうけど、大人も惹きこまれるような感情の表現を一体どうやってその若さで身に着けたの?天才なの?特に表題作は、自分も中学受験の経験者だったので思い出して三上君の境遇に胸が苦しくなった。『悲しい時、腹が減っていると、余計に悲しくなる。辛くなる。そんな時はメシを食え。もし死にたいくらい悲しいことがあったら、とりあえずメシを食え。そして一食食ったらその一食分だけ生きてみろ。それでまた腹が減ったら、一食食べて、その一食分生きるんだ。そうやってなんとかしてでもしのいで命をつないでいくんだよ』このお母さんの台詞に思わず涙が……。これから、いろんなことがあると思うけれど、それも小説の糧にして、このままいい作品を書いて行って欲しいなと思える作家さんの誕生に立ち会えた気分です。
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- 感想投稿日 : 2019年3月30日
- 読了日 : 2018年11月24日
- 本棚登録日 : 2019年3月30日
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