ドミノ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2004年1月23日発売)
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感想 : 1625
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 19年ぶりのシリーズ第2弾『ドミノin上海』が発売され、本年2月に文庫化になって大分そそられました。でも、まずはシリーズ第1弾(2001年刊)であるこっちでしょ、と思い本書を手にしました。

 恩田陸作品は3作しか読んでおらず、個人的に作風を決め付けていたかもしれません。「パニックコメディ」の触れ込みに疑問を持ちつつ読み始めましたが、いや〜(よい意味で)驚きました。
 登場人物の多さ(27人+1匹)、それ故に視点の切り替えの速さと展開のスピード感が半端なく、まるで映画を観てるかのような錯覚に陥ります。加えて、その多い登場人物それぞれのキャラの描き分けが素晴らしく、エンタメ感も申し分ありません。雑多さを上手くまとめ、時に笑わせてくれる恩田さんの手腕に、ただただ脱帽です。
 JPタワーの竣工など、東京駅周辺の状況も時代の流れとともに変遷してきてますが、物語は20年の時を経ても生き生きとしており、予測不能のワクワクとハラハラ・ドキドキが止みません。

 全く関わりのない多くの人が交錯する大都会東京で、それぞれの人生のエピソードが一つに収束していく様子を〝ドミノ倒し〟に例え、こんなにも面白い物語にしてしまう恩田陸さんの多才ぶりに、今更ながら感嘆してしまいました。
 もうこれは、シリーズ第2弾『ドミノin上海』を読まざるを得ない気がします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年5月1日
読了日 : 2023年5月1日
本棚登録日 : 2023年5月1日

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