伊坂幸太郎さんの<殺し屋シリーズ>原点です。『AX アックス』→ 『マリアビートル』と真逆に読み、第一弾の本作は未読でした。また、近々シリーズ最新作『777 トリプルセブン』が刊行されるので、これは読んでおかねばと思いました。
まぁ、それぞれ関連していても続編ではないので、独立した作品として本作も楽しめました。
妻を殺された元中学教師「鈴木」が、復讐のため非合法組織《令嬢》に契約社員として潜入しますが、機会をうかがっている最中にターゲットが謎の男に殺されてしまいます。
並行して、個性的な殺し屋たち 自殺偽装の「鯨」、ナイフ使いの「蝉」、押し屋の「槿(あさがお)」を巻き込み、復讐劇は予測不能な方向へ突き進みます。
クルクルと「鈴木」「鯨」「蝉」の順に視点が切り替わり、それぞれのキャラと殺し屋のこだわり、会話が面白く、それらが交錯しやがて鮮やかに一つに収束していきます。物語の疾走感、緊迫感だけでなく、伊坂さんの言葉の力が魅力的で、目が離せません。
グラスホッパーは、直訳で「芝を跳ねる者」・昆虫の(緑の)バッタ類のことのようです。
作中では、押し屋が言います。
<密集して暮らすバッタは、「群衆相」と呼ばれる黒色・凶暴化した変異種になる。人間も同じ。>
人の心の闇や非常を描き、人間の傲慢さや世相への警鐘も含めた内容を、伊坂さん独特のセンスで提示している、とも受け止めました。が、難しいこと抜きに、十分に楽しめるエンタメ作品でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年9月11日
- 読了日 : 2023年9月11日
- 本棚登録日 : 2023年9月11日
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コメント 1件
Kazuさんのコメント
2023/09/11