ボックス!(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2013年4月12日発売)
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本棚登録 : 3086
感想 : 251
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 高校ボクシングの青春ストーリーの下巻です。
主人公の一人である鏑矢は、己の才能に胡座をかき、ろくに努力もせず絵に描いたように挫折します。
 まぁ、普通は「こんなヤツはダメ」「当然だ」とレッテルを貼られるでしょうが、本書(下巻)の面白さはここからなんです!

 その後鏑矢は、親友・木樽のサブに徹しながら自ら考え努力し、その才能が磨かれていきます。女子マネ丸野の想いもたまらなく涙を誘います。数々の試練を乗り越え真に成長していく、その姿に素直に感動します。「負けを認める・受け入れる」ことをが成長・飛躍のスタートなのですね。

 取り分け、ヒヨッコのようだった木樽の成長ぶりはどうでしょう! 人は、継続的に学習・練習・訓練していると、突然劇的に成長することがあるという〝量子的飛躍〟に当たるんじゃないでしょうか。過酷で地道な努力はあったものの、尋常じゃない飛躍的成長は非現実的ですが‥。

 「純粋に打算なく誰かのために頑張れる」というのは、まさに青春時代にピッタリの胸熱物語でした。人のために頑張れるのは、歳に関係なく人の心がけでしょうが! と心で異論を唱えたくなりますが、哀しいかな、歳と共に邪念が入ってくるんです‥。違う?

 手に汗握るボクシング描写の面白さ、一心に一つのことに打ち込む意義、友情と人を思う気持ち等々、密度の濃い素晴らしく熱い青春物語でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月1日
読了日 : 2023年10月1日
本棚登録日 : 2023年10月1日

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