高校ボクシングの青春ストーリーの下巻です。
主人公の一人である鏑矢は、己の才能に胡座をかき、ろくに努力もせず絵に描いたように挫折します。
まぁ、普通は「こんなヤツはダメ」「当然だ」とレッテルを貼られるでしょうが、本書(下巻)の面白さはここからなんです!
その後鏑矢は、親友・木樽のサブに徹しながら自ら考え努力し、その才能が磨かれていきます。女子マネ丸野の想いもたまらなく涙を誘います。数々の試練を乗り越え真に成長していく、その姿に素直に感動します。「負けを認める・受け入れる」ことをが成長・飛躍のスタートなのですね。
取り分け、ヒヨッコのようだった木樽の成長ぶりはどうでしょう! 人は、継続的に学習・練習・訓練していると、突然劇的に成長することがあるという〝量子的飛躍〟に当たるんじゃないでしょうか。過酷で地道な努力はあったものの、尋常じゃない飛躍的成長は非現実的ですが‥。
「純粋に打算なく誰かのために頑張れる」というのは、まさに青春時代にピッタリの胸熱物語でした。人のために頑張れるのは、歳に関係なく人の心がけでしょうが! と心で異論を唱えたくなりますが、哀しいかな、歳と共に邪念が入ってくるんです‥。違う?
手に汗握るボクシング描写の面白さ、一心に一つのことに打ち込む意義、友情と人を思う気持ち等々、密度の濃い素晴らしく熱い青春物語でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年10月1日
- 読了日 : 2023年10月1日
- 本棚登録日 : 2023年10月1日
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