分冊化その2です。映画化されなかった5編+単行本未収録の超短編(4p)1編が収められています。
『ZOO1』のレビューで、共通テーマはないと書いてしまいましたが、強いて挙げると「生と死」でしょうか‥。ただ、本作もそれぞれテイストが違うというか、タイプが異なる作品が並んでいます。
乙一さんの個性豊かな作品群と言うべきか、ひょっとしたら実験的な取り組みをしているのか、とさえ思ってしまいます。
『ZOO1』以上に、ホラーとギャグ、ドタバタの共存? ブラックコメディ? の気も加わっているのが新鮮です。そのジャンルの域を超越した多種多様な作風は、デパ地下の美味しいものを摘み食いする感覚です。
特に、声で人の心を操る話なんかは、カルト宗教の洗脳のような生身の人の怖さを感じました。
また本書は、その題材・発想が、後のテレビ番組や出版業界へ大きな影響を与えたのでは? とも感じました。それくらい、将来を暗示する事件的小説とも言える気がしました。「〝◯◯の原点〟的なもの」がたくさん散りばめられていますね。
強烈な吸引力のある表現、それでいてスルリと読者を煙に巻くような文章を、もう少し体験したくなります。(これって沼? 中毒の始まり?)
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年9月16日
- 読了日 : 2023年9月16日
- 本棚登録日 : 2023年9月16日
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