ZOO 2 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2006年5月19日発売)
3.53
  • (689)
  • (1049)
  • (2127)
  • (183)
  • (41)
本棚登録 : 11057
感想 : 738
4

 分冊化その2です。映画化されなかった5編+単行本未収録の超短編(4p)1編が収められています。

 『ZOO1』のレビューで、共通テーマはないと書いてしまいましたが、強いて挙げると「生と死」でしょうか‥。ただ、本作もそれぞれテイストが違うというか、タイプが異なる作品が並んでいます。
 乙一さんの個性豊かな作品群と言うべきか、ひょっとしたら実験的な取り組みをしているのか、とさえ思ってしまいます。
 『ZOO1』以上に、ホラーとギャグ、ドタバタの共存? ブラックコメディ? の気も加わっているのが新鮮です。そのジャンルの域を超越した多種多様な作風は、デパ地下の美味しいものを摘み食いする感覚です。

 特に、声で人の心を操る話なんかは、カルト宗教の洗脳のような生身の人の怖さを感じました。
 また本書は、その題材・発想が、後のテレビ番組や出版業界へ大きな影響を与えたのでは? とも感じました。それくらい、将来を暗示する事件的小説とも言える気がしました。「〝◯◯の原点〟的なもの」がたくさん散りばめられていますね。

 強烈な吸引力のある表現、それでいてスルリと読者を煙に巻くような文章を、もう少し体験したくなります。(これって沼? 中毒の始まり?)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年9月16日
読了日 : 2023年9月16日
本棚登録日 : 2023年9月16日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする