オーデュボンの祈り (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2003年11月28日発売)
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本棚登録 : 44240
感想 : 4119
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 伊坂幸太郎さん2000年のデビュー作。今更ですが、未読でした。
 150年間も鎖国状態の荻島を舞台に、辿り着いた主人公が遭遇する事件を描いた物語です。

 特異な状況設定や不思議な人物設定、さらにはストーリー展開など、荒唐無稽に思えるのですが、これらの設定が伏線回収や事件解決の鍵となっています。読み進めるほど面白さが増していきます。加えて、軽妙で洒落た会話に伊坂さんのセンスを感じ、楽しく読み進められました。
 実在したアメリカの画家・鳥類研究家のオーデュボンとリョコウバト(乱獲で絶滅)のエピソードは、寓話のようでもあり、物語に深みを与えてくれている気がします。

 本作は伊坂ワールドの原点とも言えると思いますが、この世界観を楽しめるか否かは、人それぞれかもしれません。予測不能の展開や意味不明な状況を、理解・納得しようと頑張らないことですね。
 一つ一つの小さなエピソード(全部意味があります)、ユニークな表現や登場人物の面ふ白い会話が、伊坂作品を楽しむポイントではないでしょうか?
(あんた、偉そうに何様?)

 シュールな特異世界ながら、人物の心理描写は繊細でリアルです。また、多くの伏線回収が見事で、計算し尽くされた感もあります。優しさや郷愁も感じさせられる不思議な魅力は、デビュー当時からその異彩を放っていたのだなと思える作品でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年9月1日
読了日 : 2023年9月1日
本棚登録日 : 2023年9月1日

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