クジラが見る夢 (新潮文庫 い 41-6)

著者 :
  • 新潮社 (1998年3月1日発売)
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 『〝クジラ〟強調月間始めました!』14

 第14回は、池澤夏樹さんの『クジラが見る夢』1994年作品です。
 ジャック・マイヨール。フリーダイビングで55歳にして105mの世界記録を樹立し、自伝を基にした映画『グラン・ブルー』もあります。
 本書は、著書が海とともに生きるジャックと3週間生活を共にし、ジャックの半生を辿りながら、生き様に迫る「幸福な日々」の記録です。
 著者の目に映ったジャックからは、「何か〝偉大なもの〟に近づこう、自分の〝内なる力〟でそれを実行したい」という意志を感じるのでした。
 水深105mのグラン・ブルーの青い暗闇も、シロナガスクジラ(と共に泳ぎたい、が見る夢を共に見たい)も偉大なものの一つでしたし、イルカのようなエレガントさを求めて、スキューバを使わずにフリーダイビングにこだわるのも、内なる力の一つなのでした。
 文字が大きくページの余白に余裕があり、ブルーの写真も挟まれているので、抒情あふれる仕上がりになっているようです。
 偉大なものへの憧れ、内なる力を信じて追求…、こんな姿勢に、イルカやクジラとの距離が縮まったのかなと思いました。
 捕鯨に関する小説・ノンフィクションを数冊読んでいたので、新鮮な感覚で読むことができました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年11月15日
読了日 : 2022年11月15日
本棚登録日 : 2022年11月15日

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コメント 2件

ひまわりめろんさんのコメント
2022/11/17

こんにちは!

だいぶ壮観な本棚になってきましたね
いつも非常に面白い取り組みと思ってレビュー読ませて頂いてます

それにしても「クジラ」がテーマ、題材になってる作品って本当に多いですよね
それだけ「クジラ」が人の生活密接に絡み合っていて、かつ人の感性に働きかける存在であることの証なのかもしれませんね

いつか真似っ子したいと思います
その時のテーマは…ダイオウイカで!(図鑑読んで終わるわ!)

NO Book & Coffee NO LIFEさんのコメント
2022/11/17

ひまわりめろんさん、こんにちは!

コメントありがとうございます。
 あと数冊で、この勝手な企画も終わりにしたいと思います。「月間」と銘打ったので、ほぼ予定通りなのですが…。
 私自身、初めてのことで、クジラ以外を読めないハンデ(?)を抱えながらの読書は、苦しくもあり新たな気づきもありで、一長一短でした。でもまぁ、やらない後悔よりはよかったかなと、一人で納得しています。
 
 ひまわりめろんさんのレビューから、いつも刺激をいただいております。鋭い指摘・感性に、唸ることもしばしばです。

今後ともよろしくお願いします。

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