五話からなる短編集です。秋の紅葉の情景がとても似合う気がします。ゆったりと流れる時間とともに、大切な人との思い出が、回顧するように切なくも優しく描かれています。
冒頭に「藤子・F・不二雄先生に捧ぐ」と献辞があり、「ん?」と思いながら読み始めました。物語の会話で2ヶ所に、「理想の光景」「幸せってどういう感じ」との問いに、「のび太くんとドラえもんが漫画を読みながらどら焼きを食べている」場面・関係性を答える部分があります。何気ない日々の生活の中に、小さな幸せを感じる心をもっていたいと、改めて感じました。また、こう思わせてくれる瑞々しく洗練された文章です。
筆者は『デッドエンドの思い出』が一番と書かれていますが、個人的には『幽霊の家』が一番気に入りました。
五話のいずれも、タイトルのような袋小路・行き止まり、将来の展望が見えない終わり方でなく、これからの人生に温かい希望を与えてくれる力をもっています。辛い思いをした人にほど刺さる(と思える)、良質な物語でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年6月25日
- 読了日 : 2022年6月25日
- 本棚登録日 : 2022年6月25日
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