硝子戸の中 改版 (角川文庫 緑 1-19)

著者 :
  • KADOKAWA (1988年5月1日発売)
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本棚登録 : 30
感想 : 4
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夏目漱石の随筆集ですね。
12月9日は漱石の命日でした。
夏目漱石は文豪の中でも一番のお気に入りです。
岩波の漱石全集は三回くらい読みましたが、我が家が何回か引っ越す度に、何処かに紛れ込んで見つかりません。
誰かに貸した覚えもあり、三度買い換えたのが三度目もまた、何処かに行き方知れずのままです。
この本は、漱石の修善寺の大患後の生死感の移り変わりを綴ったものです。
鋭利な感受性と冷静な観察力で静かに語っています。
漱石は温故知新の人生を歩んだように思われます。古い芸術も愛し、自ら英語の教師として英文学を学び、学者の生活を捨てて文筆家の道を選んだ苦悶にも悩まされながらも、家族を支えるためも、「則天去私」の想いを見いだして綴った随筆集ですね。
漱石はそそっかしい人間らしさも兼ね備えて、人を愛し人に使えることも異なとしない好人物だったようです。
漱石がますます好きになる一書ですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 随筆
感想投稿日 : 2022年12月11日
読了日 : 2022年12月11日
本棚登録日 : 2022年12月11日

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