感動物語ですね。
森沢さんの小説は初読みになります。読みやすい文章で心温まる物語に感動しました。
ある本の製作に纏わる五つの短編連作小説です。それぞれの登場人物が、家族との生き別れにトラウマを抱え込んで心ひそかに思い悩む共通点が物語のキーワードですね。
日常の謎ような伏線が最後の章で実を結びますが、作中に色々仕掛けがしてあって面白く読み進めました。
森沢さんはミステリーも大変お好きなのではないかと推察します。
作中の気になるフレーズが「わたしは、わたしを「腫れ物」として扱う世界から逃げ出しだ。」
「私の人生は、雨宿りをする場所じゃない。土砂降りのなかに飛び込んで、ずぶ濡れを楽しみながら、思い切り遊ぶ場所なんだよ。」
苦しみから目をそらさずあえて向き合うために、1冊の本が紡ぎ出され、関わる人々の絆が生まれて、再生のドラマが始まる物語ですね。素敵なお話でした。暗くなくとても爽やかな文章で好きな作家さんに成りそうです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
感動物語
- 感想投稿日 : 2022年5月21日
- 読了日 : 2022年5月21日
- 本棚登録日 : 2022年2月5日
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