何度目かの再読で、おそらく村上春樹作品で最も好きな小説。作者が得意とする、二つの世界が並行して語られる手法での真骨頂。昔は「世界の終り」パートが退屈に感じられたものだけれど、歳を重ねることであの街の空気感を好きになれたような気がします。「ハードボイルド・ワンダーランド」の主人公は春樹作品の中でも特に人間らしくて良い。クールなんだけれど心中で弱音もたくさん吐くし(実際にかなり可哀想……)、ユーモアセンスもあって所々噴き出しそうになってしまう。何より不完全ながらもこの世界を愛しているのが伝わってくる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
フィクション
- 感想投稿日 : 2021年7月28日
- 読了日 : 2021年3月15日
- 本棚登録日 : 2021年7月28日
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