村山聖氏のこと、彼が28歳で亡くなったこと、あの羽生善治九段のライバルであったことはもちろん知らず、そもそも将棋についても全く知識のカケラも持ち合わせていませんでしたが、すっかり村山さんの生き方に引き込まれました。
幼い頃から入院生活を繰り返し、成人してからも自分の病気と付き合って行くことを強いられながら、棋士として名人を目指していく。本書に書かれていること意外にも相当な苦労と困難があったのではと思います。遊びたい盛りに、同世代と同じように遊ぶことも出来ない。後期、ひたすらに友人や他の棋士たちと夜な夜な酒を飲みその度に病院へ担ぎ込まれるのはそれまでの不自由さへのせめてもの抵抗だったのではないでしょうか。
彼のように一途に、強く逞しく自分に嘘をつかない真っ直ぐな生き方ができる人間には自分は程遠いなあと、こんな風に無意識に他人の心を動かせるような人間になれるだろうかと、読んだ後はそんなふうに自分自身を省みずには居られなくなりました。
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- 感想投稿日 : 2021年6月16日
- 読了日 : 2021年6月16日
- 本棚登録日 : 2021年5月21日
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