共産主義者宣言 (平凡社ライブラリー)

  • 平凡社 (2012年7月12日発売)
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感想 : 12
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これはダメだな、と思った。
社会の歴史を階級闘争の歴史という。
その時点で眉唾だと思った。そして、だからこそ興味を惹かれた。何故、闘争を歴史の根本などというものに大勢が魅せられたのか。
封建主義から資本主義へ、そして共産主義へ、というのはよく整理されてるように見える。
でも、封建主義から資本主義へ、というものは、持てるものと持たざるもの、という構造の中身が入れ替わって関係が変化した、というものであって、その先に持てるものと持たざるものとの構造の解体を見出すには無理がある。
暴力を革命の装置として想定することは、ある意味、やむを得ないと思う。それでも、暴力とは、世の初めに隠さないといけないのだ。暴力を公然と認めるところから始めた世界から暴力がなくなることはありえないだろう。
暴力は肯定するのではなく、矛盾として残しておかないといけないのだ。

とはいえ、自分としては、今の資本主義を肯定するわけでもない。資本主義も共産主義も、寿命が違うだけでどちらも破綻している。
共産主義者宣言の妥当といえるところは、資本主義への糾弾という意味でだろう。
「つまりは、社会の圧倒的多数の人間が財産をもたないことを必然的前提条件とするような財産を廃止しようとしているといって、諸君は、われわれを非難しているわけだ」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年11月18日
読了日 : 2018年7月28日
本棚登録日 : 2018年11月18日

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